【VOICE】「二度三度来たくなる」ために 大分県・湯平温泉 旅館山城屋 代表 二宮謙児 氏


二宮代表

今こそインバンド受け入れ態勢の強化を

 昨年の10月11日の政府による水際対策緩和以降、インバウンドが実質解禁となり国内の外国人旅行者は再びかつての勢いを取り戻すかのように増加しています。今後は国内の各観光地が反転攻勢をかけて熾烈(しれつ)な誘致合戦が行われることが予想されますが、私は従来の単なる誘致活動や観光地のPRだけでは“持続可能な観光”は期待できないと思っています。そこには、旅行者にとって一番大切なキーワードである「安心感」への配慮が欠けているからです。

 来日する外国人旅行者は「不安の塊」です。しかし、「安心感」をいかに提供できるかによって「満足感」へと変わり、さらなる「リピーター」へとつながります。

 このたび、私が会長を務める「インバウンド推進協議会OITA」では、「インバウンドに優しいおもてなし認定証」と「外国人目線による交通アクセス検証動画制作」の取り組みを始めました。

 「おもてなし認定証」は、「多言語」「案内」「飲食」「健康・安全」「意識向上」「設備」の六つの分野で、認定基準合計20条のうち業務上該当する項目において70%以上を満たす場合に認定されます。逆に70%に達していない場合は「どうしたら良いのか」という改善を提案しますので、認定を通して、インバウンド客のみならず国内客に対しても受け入れ態勢のさらなる向上に努められることとなります。また、認定された事業者へは「認定証」だけでなく、今後の手引書となる「HAND BOOK」も交付しています。

 「交通アクセス検証動画」は、既存の公共交通機関や自転車などを活用して紹介する「おおいたの小さな旅」シリーズ(全10本)です。英語・韓国語・中国語の多言語でより多くのインバウンド観光客に発信します。目的地までの交通アクセスでストレスなく移動できれば、移動そのものも楽しい体験となり、また次回の訪問地となり得ます。逆に不安な思いだけが残れば次の候補地とはならないでしょう。

 また、2次交通・3次交通が不足しているといわれる地方の観光地も、山間部のデマンドバスやレンタサイクルなどの移動手段を幅広く紹介することによって、より魅力的な知られざる観光スポットまで案内することが可能です。

 一度は訪れていただいた旅行者が「二度三度来たくなる」ために、まず取り組むべきことは「受け入れ態勢の強化」であり、そこに最も注力した観光地こそが最終的に生き残れるのだろうと思います。

二宮代表

 
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